海外展開はアメリカ、特にニューヨークに絞って活動することにしました。生の柚子が入手できにくく需要はあるという特殊な事情を抱えていたからです。そして、パートナーの日系商社の営業担当の方と連日訪問営業を行いました。そして、また新たな事情を知ることになりました。
丸柚餅子の紹介をさせていただく店のなかには「柚子の皮はないの?困ってんだよね」と言われる方が多くいました。営業担当に事情を聞くと、生の柚子の輸入ができないため料理の装飾用として柚子皮の冷凍品が出回っていたとのこと。これが、FDA当局が知り、装飾用でないと判断して輸入や使用ができなくなったようです。
困ったレストランは「柚子の皮ないの?」ということになったわけです。それからは、商社の経営陣からも「柚子の皮作れませんか?」と依頼され、試作を繰り返し3年後には丸柚餅子ではなく、柚子の皮を製造販売するベンダーとして認識されるようになりました。日本ではほとんど流通していない商品ですが、アメリカの事情から生まれた商品が「きざみ柚子」でした。